手軽に楽しむアロマルームスプレー作り 入門
日常を彩る 香りの手間ひま時間
慌ただしい日々の中で、ふと立ち止まり、心地よい香りに包まれる時間は、心のゆとりを取り戻すきっかけとなります。スマートフォンやデジタル機器から少し離れて、自分の手で何かを生み出すアナログな時間は、格別の充実感を与えてくれます。
今回ご紹介するのは、アロマオイルを使った手作りルームスプレーです。特別な道具や難しい工程は必要なく、身近な材料でどなたでも気軽にお楽しみいただけます。お好みの香りをブレンドする作業は、まさに自分自身と向き合う穏やかな時間。出来上がったスプレーをシュッとひと吹きすれば、空間だけでなく心までリフレッシュされるのを感じられるでしょう。
アロマルームスプレーとは?
アロマルームスプレーは、精製水やアルコール、そしてエッセンシャルオイルを混ぜて作る、空間用の香りのスプレーです。市販品には合成香料が使われているものもありますが、手作りであれば天然のエッセンシャルオイルを使用し、自分にとって心地よい香りを自由に組み合わせることができます。
お部屋の空気をリフレッシュしたいとき、気分転換したいとき、リラックスして眠りにつきたいときなど、シーンに合わせて香りを使い分けることも可能です。
手作りルームスプレーの魅力
手作りルームスプレーの一番の魅力は、何と言っても自分の好きな香りを、自分の手で生み出せることです。
- 香りを自由にブレンドできる: 何種類かのエッセンシャルオイルを組み合わせることで、世界に一つだけのオリジナルな香りを作ることができます。
- シンプルな材料で安心: エッセンシャルオイルと、薬局などで手軽に入手できる精製水や無水エタノール(または植物性グリセリン)など、シンプルな材料で作ります。
- 短時間で完成: 慣れてしまえば数分で一本のスプレーが完成します。ちょっとした空き時間にサッと作れる手軽さも魅力です。
- 「手間ひま」の楽しさ: 香りを選び、滴数を数え、静かに混ぜ合わせる工程は、心落ち着く作業です。この手間ひまこそが、出来上がったスプレーへの愛着につながります。
- デジタルデトックス: スマートフォンから目を離し、香りと向き合う時間は、デジタル疲れを癒やす良い機会になります。
用意するもの
手作りアロマルームスプレーを始めるために必要なものは、以下の通りです。
- エッセンシャルオイル: お好みの香りを選びます。初心者の方は、ラベンダーやオレンジ・スイート、ティートリーなど、使いやすく香りのイメージがしやすいものがおすすめです。複数のオイルがあるとブレンドを楽しめます。
- 無水エタノール または 植物性グリセリン: エッセンシャルオイルを精製水に溶けやすくするために使います。無水エタノールは揮発性が高く、スプレー後の香りが軽やかになります。植物性グリセリンはアルコールを使いたくない場合に使いますが、エタノールほどは溶けやすくありません。薬局で入手できます。
- 精製水: 不純物が少なく、カビなどが生えにくいため適しています。薬局やドラッグストアで購入できます。水道水はおすすめしません。
- 遮光性のあるスプレーボトル: エッセンシャルオイルは光や熱で劣化しやすいため、必ず遮光性のあるガラス製またはプラスチック製(PET素材など)のボトルを選びます。容量は30ml〜50ml程度が使いやすいでしょう。
- ビーカーや計量カップ: 材料を混ぜ合わせたり計量したりするのに使います。ガラス製が香りが移りにくくおすすめです。
- ガラス棒やマドラー: エッセンシャルオイルとエタノール(またはグリセリン)を混ぜ合わせるのに使います。
- 漏斗(ろうと): スプレーボトルに液体を移す際に使うと便利です。
- ラベルシール: 作った日付やブレンドした香りを書いて貼っておくと管理しやすいです(任意)。
これらの材料や道具は、アロマ専門店だけでなく、最近では100円ショップやインターネット通販でも手軽に入手できるようになりました。
基本的な作り方
ここでは、無水エタノールを使う基本的なアロマルームスプレーの作り方(50mlボトル用)をご紹介します。
- ビーカーに無水エタノールを入れる: まず、ビーカーに無水エタノールを5ml入れます。
- エッセンシャルオイルを加える: 無水エタノールの入ったビーカーに、お好みのエッセンシャルオイルを合計10滴〜20滴加えます。(濃度は1%〜2%程度が目安です。初めて作る際は少なめから試すのが良いでしょう。) 加える際は、オイルの瓶を傾けてゆっくりと滴下します。
- 優しく混ぜ合わせる: ガラス棒やマドラーを使って、エッセンシャルオイルと無水エタノールを優しく混ぜ合わせます。オイルがエタノールに溶けるように、底からゆっくりと混ぜます。まるで香りの魔法をかけるような静かな時間です。
- 精製水を加える: 混ぜ合わせたものに、精製水を45ml加えます。精製水を加えたら、再度優しく混ぜ合わせます。
- ボトルに移す: 漏斗を使うか、慎重にビーカーから遮光スプレーボトルに液体を移し替えます。液体がこぼれないようにゆっくりと行うのがポイントです。
- 完成・保管: ボトルの蓋をしっかりと閉めたら完成です。使用前によく振ってから使います。 作ったスプレーは、直射日光の当たらない冷暗所に保管し、1ヶ月以内を目安に使い切るのがおすすめです。
ブレンドのコツと楽しみ方
香りのブレンドは、手作りアロマスプレーの最も楽しい部分かもしれません。
- 最初は単体から: まずはラベンダーやオレンジなど、一つの香りでシンプルに作ってみると、それぞれの香りの個性がよくわかります。
- 簡単な組み合わせ: 柑橘系(オレンジ、レモン、グレープフルーツ)とハーブ系(ラベンダー、ローズマリー)、あるいはフローラル系(ゼラニウム)と樹木系(ヒノキ、シダーウッド)など、相性の良いグループ同士を組み合わせることから始めると失敗しにくいでしょう。
- 目的で選ぶ:
- リラックスしたいとき:ラベンダー、カモミール・ローマン、ベルガモット
- 気分転換したいとき:レモン、ペパーミント、ローズマリー
- 落ち着きたいとき:サンダルウッド、フランキンセンス、ヒノキ
- 空気を浄化したいとき:ティートリー、ユーカリ、レモン
- 香りの強さ: オイルの滴数で香りの強さを調整できます。最初は少なめから始め、物足りなければ次回作る際に増やしてみましょう。
作る時間と費用感
アロマルームスプレー作りにかかる時間は、一度作り方を覚えれば5分〜15分程度です。材料を揃える時間は別ですが、実際に手を動かす時間は短く、忙しい合間にも取り入れやすい手仕事と言えます。
費用については、初期費用としてスプレーボトルやビーカー、そしていくつかのエッセンシャルオイルを揃える必要があります。エッセンシャルオイルの種類や品質によって価格は幅がありますが、品質の良い天然オイルを選ぶことをおすすめします。一度揃えれば、材料費は一本あたり数百円程度で作ることができ、市販品に比べて経済的でもあります。何より、作る過程で得られる心満たされる時間は、お金には換えられない価値があります。
日常に彩りを加える
手作りしたアロマルームスプレーは、お部屋にシュッとひと吹きするだけでなく、様々な使い方ができます。眠る前に枕元にスプレーしたり、お客様を迎える前に玄関に香りを広げたり、カーテンに軽くスプレーしたりと、生活の色々なシーンで活躍します。
また、慣れてきたら季節に合わせてブレンドを変えてみたり、友人にプレゼントしてみたりするのも楽しいでしょう。このアロマクラフトをきっかけに、手作り石鹸やバスボムなど、他のアロマを使った手仕事に挑戦してみるのも素晴らしい発展の形です。
まとめ
スマートフォンから少し離れ、香りの世界に浸るアロマルームスプレー作りは、心穏やかな「手間ひま時間」を与えてくれます。好きな香りを選び、自分の手で混ぜ合わせ、空間に心地よい香りを広げる喜びは、日々の暮らしに豊かな彩りを添えてくれるはずです。
ぜひ、この機会に手作りアロマルームスプレーの世界に触れてみてください。きっと、自分自身を大切にする新しい習慣が見つかるでしょう。