古布でつくる布ぞうり入門 手軽な始め方
日々の忙しさの中で、ふと立ち止まり、何か心満たされる時間は過ごせていますでしょうか。スマートフォンやデジタル機器から少し距離を置いて、ゆったりと手先を動かす時間は、心地よいリフレッシュにつながります。
今回は、ご自宅にある「古布」を活用して、自分だけの一足を作り出す「布ぞうり作り」をご紹介します。特別な道具はほとんど必要なく、手軽に始められるアナログな手仕事です。
布ぞうり作りの魅力とは
布ぞうり作りには、たくさんの魅力があります。
まず、環境に優しいリサイクルという側面です。着なくなったTシャツや、使わなくなったシーツ、手ぬぐいなど、ご自宅にある古布を有効活用できます。色とりどりの布を組み合わせることで、世界に一つだけの個性的なぞうりが生まれます。
また、手先を動かす作業は集中力を高め、日々の雑念から心を解き放ってくれます。裂いたり、結んだり、編んだりする単純な繰り返しの中に、心地よいリズムが生まれます。
そして何より、完成した時の達成感はひとしおです。自分の手で作った布ぞうりを履いた時の、足裏に布の感触が心地よく伝わる感覚は、手作りならではの喜びです。室内履きとして使うことで、フローリングの上でも滑りにくく、さらりとした感触が快適です。
布ぞうり作りに必要なもの
布ぞうり作りに必要なものは、身近なものばかりです。
- 古布: Tシャツや肌着、シーツなど、伸縮性のある綿素材がおすすめです。木綿の浴衣や手ぬぐいなども使えます。1足あたり、大人用Tシャツ2〜3枚程度が目安です。
- 土台用の芯材: 布ぞうりの形を作るための芯となるひもです。ポリプロピレン製の平たいテープ(PPテープ)や、木綿や麻の太いひもなどがあります。手芸店や100円ショップでも入手可能です。
- ハサミ: 布を裂きやすく切ったり、鼻緒用の布を準備したりするのに使います。
- ものさし: 布の幅を測ったり、長さを揃えたりするのに使います。
- 安全ピン: 布端を留めたり、編み進める際にガイドにしたりと便利です。
これだけで基本的な布ぞうりは作れます。もしあれば、鼻緒をしっかりとさせたい場合は、鼻緒用の太いひも(アクリルコードなど)があるとさらに作りやすくなります。
超初心者向け 布ぞうりの基本的な作り方
布ぞうりの作り方にはいくつかありますが、ここでは手軽な基本的な手順をご紹介します。
- 布の準備: 古布を幅2〜3cm程度に細長く裂くか、切ります。Tシャツなどの丸編みの生地は、ハサミで切り込みを入れれば手で裂きやすく、端の始末も不要で便利です。布の色や柄を変えながらたくさん準備しておきましょう。
- 芯材の準備: 土台となる芯材を足のサイズに合わせて輪っか状に準備します。例えば、PPテープを使う場合は、かかとに当たる部分にループを作り、そこからつま先、反対側のかかと、再びつま先を通ってループに戻るようにします。慣れないうちは市販の布ぞうりキットの芯材を使うのも良いでしょう。
- 布を編みつける: 準備した細長い布を、芯材の輪に結びつけながら編んでいきます。例えば、芯材の輪に布をくぐらせ、下から上へ引き出して結びつける方法があります。この作業を繰り返すことで、布ぞうりの本体となる平らな部分ができていきます。まるで、昔ながらの縄をなうような、素朴な作業です。
- 形を整える: 編み進めながら、左右のバランスを見ながら形を整えていきます。少しずつ、ぞうりらしい形になっていく様子を見るのは楽しいものです。
- 鼻緒をつける: 本体が足のサイズになったら、鼻緒を取り付けます。鼻緒は、別に用意した布やひもで作ります。つま先部分とかかと寄りの両脇に穴を開けるか、芯材の隙間を利用してしっかりと結びつけます。鼻緒の太さや色、つける位置で履き心地や見た目が変わります。
- 仕上げ: 余分な布端をカットし、全体の形を整えたら完成です。
工程はシンプルですが、布を裂く、結ぶ、編むといった一つ一つの作業に手間ひまをかけることで、愛着の湧く一足が生まれます。
かかる時間と費用感
布ぞうり1足を作るのにかかる時間は、慣れにもよりますが、初めての方でも数時間から半日程度あれば完成させることができます。隙間時間を使って少しずつ進めることもできますし、休日を利用して一気に作り上げることも可能です。
費用は、古布を活用する場合は芯材と鼻緒用のひも代が主になります。100円ショップなどでも手に入る材料を使えば、数百円程度で一足作ることが可能です。趣味としては非常にリーズナブルに始められます。
自宅で、そして時には交流も
布ぞうり作りは、基本的に自宅で手軽に始められます。リビングの片隅で、テレビを見ながらでも、音楽を聴きながらでも、自分のペースで作業を進められます。
地域によっては、公民館や手芸店などで布ぞうり作りの講座やワークショップが開催されている場合もあります。同じ趣味を持つ人たちと交流しながら作るのも楽しい時間になるでしょう。オンラインで作り方を共有したり、完成したぞうりをSNSで見せ合ったりするのも励みになります。
続けるコツと発展性
布ぞうり作りを続けるコツは、まずは小さなサイズ(子供用など)や、簡単な編み方から挑戦してみることです。完成の喜びを早めに味わうことが、次への意欲につながります。
慣れてきたら、様々な素材の布を使ってみたり、編み方を変えてみたり、ビーズなどを編み込んで装飾を加えたりと、アレンジも楽しめます。ご家族や友人にプレゼントするのも喜ばれるでしょう。手作りの温かさがきっと伝わります。
まとめ
スマートフォンを置いて、布の感触を楽しみながら手先を動かす布ぞうり作りは、心穏やかな時間をもたらしてくれます。古布に新たな命を吹き込み、実用的な一足を作り出す作業は、日々の暮らしに小さな喜びと充足感を与えてくれるでしょう。
ぜひ、お手元にある古布を使って、あなただけの手作り布ぞうりに挑戦してみてください。手間ひまをかけることで生まれる心地よさを、足元から感じていただければ幸いです。