手軽に始める押し花づくり入門
日々の忙しさの中で、ふと立ち止まり、自分のための静かな時間を持つことは大切です。スマートフォンやデジタル機器から少し離れて、手で何かを生み出すアナログな活動は、心に穏やかさと充実感をもたらしてくれます。「手間ひま時間ガイド」では、そんな温かい時間を見つけるお手伝いをしています。
今回ご紹介するのは、「押し花づくり」です。特別な道具がなくても身近なもので始められ、季節の草花を使って美しい作品を作ることができます。
押し花とは?その魅力
押し花は、摘んだ草花を乾燥させて平らにし、保存できるように加工したものです。古くから世界中で親しまれてきました。
押し花づくりの最大の魅力は、何と言っても身近な植物が美しいアートに変わる喜びです。庭に咲いた花、散歩中に見つけた可愛らしい草、頂いたブーケの一部など、捨ててしまうにはもったいないと感じる植物を、そのままの姿に近い形で永く残すことができます。
また、植物と向き合い、そっと形を整えて押す作業は、集中力を高め、心を落ち着かせる効果があります。デジタル画面から目を離し、植物の繊細な形や色に触れる時間は、日頃の疲れを忘れさせてくれるでしょう。仕上がった押し花を使って作品を作る工程も、創造性を刺激し、達成感をもたらしてくれます。
初心者向け 押し花づくりの基本的な始め方
押し花づくりは、驚くほど手軽に始めることができます。まずは、ご自宅にあるものや、100円ショップなどで手に入るものから試してみましょう。
必要なもの
- 押し花にしたい草花: 庭や道端の小さな花、葉など。できるだけ、花びらが薄く、水分が少ないものが初心者には扱いやすいです。
- 新聞紙: 草花から水分を吸い取るために使います。
- 厚い本: 辞書や図鑑など、重みがあり平らなものが適しています。
- ティッシュペーパーやキッチンペーパー: 草花を挟み、新聞紙に色移りするのを防ぎます。
もし、もう少し本格的に始めたい場合は、押し花専用のキットや乾燥シートなども市販されています。これらを使うと、よりきれいに、失敗なく押し花を作ることができます。
基本的な押し方(本を使う方法)
- 草花を準備する: 摘んだ草花は、できるだけ新鮮なうちに使いましょう。水分が多い場合は、少し乾かしてからの方がきれいに仕上がります。形を整えたい場合は、茎を短く切ったり、花びらを丁寧に広げたりします。
- 挟み込む: 新聞紙を広げ、その上にティッシュペーパーやキッチンペーパーを敷きます。その中央に、準備した草花が重ならないように並べます。さらに上からティッシュペーパーやキッチンペーパーを重ねます。
- プレスする: 草花を挟んだ新聞紙を、厚い本の間に挟み込みます。複数の場所に入れる場合は、それぞれが重ならないように注意します。本を閉じ、上からさらに重し(他の本など)を乗せると、よりしっかりとプレスできます。
- 乾燥を待つ: そのまま数日間から1週間ほど置いておきます。草花の種類や厚さによって乾燥時間は異なります。途中で新聞紙やティッシュペーパーを交換すると、より早くきれいに仕上がります。交換する際は、草花を傷つけないよう、そっと行いましょう。
- 完成: 草花がパリパリになって完全に乾燥したら、押し花の完成です。本からそっと取り出します。
専用の乾燥シートを使う場合は、シートの間に草花を挟み、上から重しをするだけで手軽にできます。短時間で仕上がるタイプもあります。
押し花をさらに楽しむコツと活用法
完成した押し花は、そのまま飾るだけでなく、様々なものに活用できます。
- ハガキやメッセージカード: シンプルなカードに貼り付けるだけで、温かみのあるオリジナルのハガキができます。
- しおり: 厚紙に貼り付け、ラミネートしたり透明なテープで覆ったりすれば、丈夫なしおりになります。読書の時間が一層楽しくなります。
- 額装: お気に入りの押し花を組み合わせて台紙に貼り、額に入れると、素敵なインテリアになります。小さな額なら、いくつか並べて飾るのも良いでしょう。
- キャンドルや石鹸づくり: 専用の材料を使えば、押し花を閉じ込めたオリジナルのキャンドルや石鹸も作ることができます。
季節ごとに異なる草花を使って押し花を作りためておけば、一年を通して自然の恵みを楽しむことができます。慣れてきたら、色々な植物で試したり、乾燥方法を工夫したりと、楽しみ方は広がります。
まとめ
押し花づくりは、特別な場所に行かなくても、自宅で自分のペースで始められるアナログな趣味です。スマートフォンから少し離れて、身近な自然と触れ合い、手を動かす時間は、きっと心のリフレッシュになるはずです。
摘みたての草花を丁寧に扱い、時を経て美しい姿で保存するプロセスは、手間ひまをかけることの豊かさを実感させてくれます。ぜひ、あなたも押し花づくりで、穏やかで満ち足りた「手間ひま時間」を過ごしてみてはいかがでしょうか。