手軽に始める飾り結び 水引入門
忙しい日々の中で、ほんの少しだけ立ち止まり、自分の手先と心に意識を向ける時間を持てたら、どんなに豊かな気持ちになれるでしょうか。デジタルデバイスから離れて、古くから伝わる手仕事に触れることは、心を落ち着け、集中力を高めるための素敵な方法です。
今回は、日本の伝統的な美しさと心を込める時間が詰まった「飾り結び」、特に「水引」を使った結びに焦点を当て、その手軽な始め方をご紹介します。
飾り結び・水引の世界へようこそ
飾り結びとは、一本または複数の紐や糸、水引などを結んで美しい形を作り出す手芸です。古くから縁起物として贈答品に使われたり、装飾として生活に取り入れられてきました。特に水引は、和紙を撚って糊で固め、色付けや絹巻きなどを施した細い紐で、独特の光沢と張りがあります。
水引を使った飾り結びの魅力はたくさんあります。まず、特別な道具がほとんど必要なく、材料も比較的手軽に入手できる点です。そして、たった一本の水引から、あわじ結びや梅結びなど、様々な表情を持つ結びが生まれる驚きと楽しさ。指先を使い、無心で結びに集中する時間は、日頃のあれこれを忘れさせてくれるでしょう。小さな結びでも、一つ完成させるたびに確かな達成感を得られます。
飾り結び・水引を始めるのに必要なもの
とてもシンプルです。
- 水引: これが主役です。文房具店や手芸店、100円ショップなどでも手に入ります。最初は赤白、金銀といった基本的な色や、扱いやすい絹巻水引がおすすめです。長さは90cmや1mなどが一般的ですが、キットになっているものなら必要な長さが揃っています。
- はさみ: 水引を切るために使います。
- あると便利なもの: 木工用ボンド(結びを固定するため)、ピンセット(細かい作業に)、定規、目打ちなど。
これだけあれば、基本的な結びを始めることができます。
水引を使った飾り結びの基本的な始め方
まずは、最も基本的で応用範囲の広い「あわじ結び」や、華やかな「梅結び」から始めてみましょう。
- 材料の準備: 使いたい色の水引を必要な本数、長さに切ります。最初は短い水引で練習すると良いでしょう。
- 結び方の確認: 本やインターネットで、結び方の手順を確認します。最初は図や動画を見ながら、ゆっくりと進めます。
- 実際に結んでみる: 水引を指で挟み、指示通りに交差させたり、輪に通したりしていきます。最初は水引が滑ったり、形が歪んだりするかもしれません。気にせず、まずは手順通りに結んでみることが大切です。
- 形を整える: 結び目ができたら、指先やピンセットを使って水引を少しずつ引き締め、きれいな形に整えます。この「整える」作業も、飾り結びの大切な工程であり、面白さの一つです。まるで粘土細工のように、少しずつ理想の形に近づけていきます。
- 固定する(必要に応じて): 結び目が緩まないように、結び目の裏側などに少量の木工用ボンドをつけて固定します。
一つの結びにかかる時間は、慣れれば数分程度です。材料費もそれほどかからないため、気軽に繰り返し練習できます。
続けるコツと飾り結びの楽しみ方
- 簡単な結びから始める: 最初から難しい結びに挑戦せず、基本的な結びをマスターすることを目指しましょう。
- 色々な水引を試す: 色、太さ、質感の違う水引を使うと、同じ結び方でも雰囲気が変わります。
- 完成したものを活用する: 結んだ水引は、ラッピングの飾り、ポチ袋やカードの装飾、アクセサリーのパーツ、季節のしおりなど、様々なものに活用できます。自分で作った飾りを結んで贈れば、きっと喜ばれるでしょう。
- キットや教室を利用する: 最初は材料と作り方がセットになったキットから始めるのもおすすめです。地域のカルチャーセンターなどで水引の教室が開かれている場合もあります。同じ趣味を持つ人との交流も、新しい楽しみが見つかるかもしれません。
心穏やかな手仕事の時間
水引を使った飾り結びは、特別な空間や道具がなくても、机の上の小さなスペースで始められます。鮮やかな水引の色合いに触れ、指先で一本一本丁寧に結んでいく時間。それは、デジタルな情報から離れて、自分自身と向き合う静かで豊かな時間です。
ぜひ、この機会に飾り結びの世界に触れてみませんか。水引が織りなす小さな美しさが、きっとあなたの日常に彩りと穏やかさをもたらしてくれるはずです。